墓じまいの手続きでお寺と揉めないために「手順や必要書類と費用について」

ライフハック

墓じまいとは、現在ある先祖代々のお墓を管理する者がいなくなる将来を考え、墓を撤去し、更地に戻すことを指します。
しかしいざ墓じまいとなると「お寺さんからお金を吹っ掛けられた」とトラブルになったり、行政の手続きで故人を埋葬した時の「埋葬許可証」などが必要になったりと簡単にはいかないものです。
こちらの記事では、墓じまいの手順、必要な金額、お寺との付き合い方、思わぬ落とし穴などを筆者の経験を踏まえてお伝えします。

墓じまい(改葬)でお寺と揉めないために「必要書類や費用」

墓じまいは、過疎化や子供がいなかったり嫁いだりして墓守となる人物がいない場合、先祖代々の墓を閉じ墓石を撤去し、納骨堂などに収めて供養することです。

現在はお寺との関係も希薄になって、いざ墓じまいの連絡をしたらお金を吹っ掛けられた!とトラブルを嘆く人もいます。

そうはならない為に墓じまいと改葬の流れを順を追って説明します。

墓じまいの手順を解説

1.お墓の撤去を親族や菩提寺に相談する

墓じまいは一族のことですから自分だけで決めるのは後々の火種になります。
まずは親族に相談し了承を得ることが大切です。
また、菩提寺の敷地内にお墓があるのなら、魂抜きなどの供養をお願いすることになるため、菩提寺にも連絡が必要です。

2.遺骨を移す先を決める

自分の現在の居住地の近くで、同じ宗派であるお寺、もしくは合祀を行う納骨堂などに目星をつけ改葬先を決めていきましょう。
自分の代で絶えるとわかっている場合は、永代供養になりますが、その際の費用もしっかりとチェックしましょう。

永代供養の費用はお寺によってかなり違います。ご先祖様のことだから多少無理してでも…という気持ちもありますが、自分たちのできる範囲で選択することが大切です。

遺骨を移す先と話を詰める前に、今の菩提寺と話をつけましょう
特に同じ宗派の寺に移そうとすると「先に今の菩提寺さんとお話を付けてからでないと受けれません」と言われるところがほとんどです。
檀家を取った取ってないで揉めたくないというのが寺側にもあります。
逆に話がついていると、菩提寺側から次のお寺に紹介の電話をしてくれることもあります。

3.新しい供養先から受入証明書を発行してもらう

お骨の新たな受け入れ先から「受入証明書」を発行してもらいます。業者やお寺によりさまざまですが無料である場合もあれば1500円程度お金がかかることもあります。

4.火葬証明書、埋葬許可証や改葬許可証などの書類の取得

今現在のお墓の埋葬証明書や、改葬許可証を発行してもらう必要があります。

自治体によって異なりますが、火葬許可証と埋葬証明書が一つの書類として発行されています。おじいちゃんがなくなった時にもらった埋葬証明書が仏壇の戸棚にあった、骨壺の中に入っていた!なんてこともありますが、ほとんどの方の場合はなにそれしらない!と家探しすることになると思います。

現在の霊園やお寺の墓地の管理者に預けている可能性もあります。問い合わせし、なければ実際に故人を火葬した斎場などに連絡し「火葬証明書」を再発行してもらいます。

「火葬証明書」を役所に提出すると「埋葬許可証」が再発行されますので、前述の「受入証明書」と合わせ今度は「改葬許可証」を発行してもらいます。

「改葬許可証」はお骨の人数分必要です。こちらは受け入れ先に提出するものになります。

現在の墓地の所在地で発行してもらうもの
火葬証明書(なければ再発行)
埋葬許可証(なければ再発行)

改葬許可証(今回初)

5.魂抜き(抜魂法要)や閉眼供養を行う

魂抜きはお墓からその家の御霊を抜くことによってただの石に戻すことです。相場は大体3万から10万程度です。遠方からお寺さんに来てもらう場合はお車代などお気持ちを含めることもあります。

6.墓石の解体

業者に依頼し墓石の解体をします。お墓の敷地のサイズによって異なりますが10万~25万程度が相場です。

基礎コンクリート(土台)の撤去は要相談
一般的に、空になった墓は解体し更地に戻すのが一般的です。石材店へ依頼し墓を解体するのは当たり前ですが、問題は土台です。

土台を解体すると雑草が生え文字通り荒地になってしまいます。

次に墓を設置する家にまた整地の工賃の負担が増えてしまう…、草が生えて管理の手間がかかってしまう…との理由から、お寺や土地の管理業者などから「土台はそのままにしてくれ」と依頼されることもあります。
また土台は残しても外柵は撤去してほしいなど細かいことも。

お寺の敷地内ならお寺に、共同墓地などなら霊園管理者に、解体前に事前に確認をとることをお勧めします。言った言わないにならないよう覚書があるといいかもしれません。

7.新しい供養先に納骨を行う

受け入れ先に連絡しお骨を納めます。郵送でも受け入れてくれる場所がありますが、一般的には自分たちで移動し、拝んでいただいたのちに納骨するかたちになります。

8.元の墓地の土地の処理を済ませる

菩提寺の一角に土地を借りているのなら必要ないのですが、墓地の土地を買っていた場合は、売却するなりしなければいけません。

また墓地ではなく更地になることから、土地の種類が変わります。そのため行政に手続きをしなければなりません。

新たな納骨先でかかる費用

こちらでは筆者が実家の墓じまいをする際に様々なお寺に問い合わせをした経験からおおよその費用をお伝えします。

筆者の実家は跡を継ぐものがいないため、実家の墓を撤去し筆者の居住地近くで永代供養をしているお寺へ入れる予定でした。たくさんのお寺に問い合わせたところおおよその相場が以下の通りです。

納骨代(他家のお骨と合祀)……一人10万、先祖代々まとめていれる総骨の場合30万

納骨代(合祀せず20年別に骨の保管)……+25万

永代供養代……年1回拝むかたちで10万(30年)、月命日に拝むかたちで30万、毎日戒名をよみあげる供養で100万

大きな位牌を安置……+30万

魂抜きの法要や、墓石の撤去代を合わせたら100万どころではすまず、金額に天井がありません。永代供養と言いながら100年まで、ということろもありますし、本当に100年やってくれるのかもわかりません。
ある宗派のお寺では30年でお骨は撤去すると明言されているところもあります。
それなのに正直足元見すぎだろという金額が並びます。

また一旦お骨を納めると他のお骨と混ざることから、新たに墓を建てようと思ってもお骨を取り出せないという問題もあります。

そのため30年と割り切って安い霊園で済ませる方もいます。

当方は実家の菩提寺に赴き相談したところ、今までずっと懇意にしていたからと、納骨代と墓石の魂抜き、そして移動後の法要の金額で済みました。後から聞くと、もともと永代供養代は頂いていないというお寺でした。

HPに大々的に永代供養を謳っている場所だけでなく、故人のつながりなどで納める先を選別することも重要です。
しかし当方の身内は懇意にしている寺でも最低100万から、と提示されたといい地域差ではなくお寺次第であるというのをまざまざと見せつけられました。
父母が存命ならじっくり話し合い、納得できる納骨先を探すことが最善です。

墓じまい+永代供養の金額は地域差ではない
都会に行くほど納骨堂や永代供養の代金が高いから田舎でやろうと思うという意見をよく聞きます。
筆者が調べたところ、都会でも安い場所はありますし、田舎でもとんでもなく高いところはあります。
都会で大体100万前後の相場を言われた後に、地方のあるお寺に問い合わせたところ
「納骨代+永代供養代を合わせて一番小さい納骨堂で100万、一番大きくて500万」
と言われたこともありました。本当の様々です。

子供に迷惑をかけないための墓じまいが二重の費用を生み出す行為に

納骨先を探しているときに、親が自分が死ぬ前に墓じまいをし、自分も死んだら後追いで永代供養をするよう取り計らってもらいたい、その場合の費用はどうなるか?という問い合わせをしました。

ほとんどのお寺が、生前に先祖の納骨と永代供養をしていても、父母がなくなった場合は別にお金がかかる、しかしご予約は受け付けていますよ、との回答でした。
つまり上記の数十万~100万近い金額が再びかかるというのです。
子供に負担をかけずに始める予定がさらにお金がかかるという事態になりかねません。そのため遺言で死んだあとに墓じまいをする選択をする方も増えています。

二重の費用がかかり負担を増やさない為にも付き合いのあるお寺を大事にし、あらかじめお話を詰めておくことが重要です。

離檀料は魂抜きの供養やお布施であることがほとんど「法的根拠がないと喧嘩腰にならないで」

さあ、いざ墓じまいをしました。これからは先祖の骨を永代供養塔に入れます。もしくは、自分が住んでいる近くの寺に持っていきそちらで供養をしてもらいます。
となった時、元のお寺側から「離檀料がかかります」と言われて揉めたという話も多々あります。

墓を取っ払ったのになんでお金を払わないといけないんだ!と憤慨する人も多々いますが、しかしこれは、施餓鬼供養や折々の法要の未払い分など、ほかの檀家さんは払っているのに払っていなかったものや、墓じまいの魂抜き法要でかかった費用などの総額である場合もあります。
離檀料に法的根拠はありませんと説明する方は多いですが、今までかかるはずの費用の清算の可能性もあるので初めから攻撃的にならず話を聞きましょう。
離檀料に法的根拠はなくお布施の一種でいわゆる「お気持ちだけ」の区分であることは事実ですが不義理にならないように心がけてください。

とはいえ、数百万などはもちろん法外な金額です。その場合は話し合いをするなり内訳を聞いたほうが良いでしょう。

墓じまいしてもお寺との付き合いは続く「付き合うメリット・デメリット」

墓じまいをし、お寺に永代供養をお願いした後、一切お金がかからないとしているお寺が一般的ですが、月一回や年一回の永代供養の項目とは別に、施餓鬼供養や、お盆、涅槃会など宗派によって様々な供養があります。

こちらもまた「お気持ち」だけのお布施で、封書などでお願いがくることもあります。強制ではありませんが、低額であるなら日頃の感謝を込めて納めるのもいいかもしれません。

なんだまだお金がかかるのか!とめんどくさいと思われる方も多いですが、デメリットだけではありません。都会で親族の葬式を営むとき、葬儀屋から紹介されたお坊さんに50万~100万近いお布施が相場と言われたなんてこともあります。
少子化になり各個人によってお布施に割ける金額は違います。常々付き合いのあるお寺でしたら、ある程度の家族構成や割ける金銭状況も知っていますし、お願いすれば遠方からでも車代宿泊代とお布施で10万~20万程度で来てくださることもあります。

ご先祖や親族の最期を見ていただくお寺ですから、持ちつ持たれつで気持ちの良いお付き合いをしたいですね。

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