前回、博物館の野田(田辺誠一)と里中(いとうせいこう)に助けを求めた万太郎(神木隆之介)でしたが、博物館と大学は協力関係にあり田邊教授(要潤)の意向を無視することはできないと断られてしまいます。国内に活路を見いだせなくなった万太郎にとって一筋の光明はロシアのマキシモヴィッチ博士博士のもとに行くことでした。
らんまん第89話ネタバレ感想「課されるにはあまりに無残な試練」
前回、博物館の野田(田辺誠一)と里中(いとうせいこう)に助けを求めた万太郎(神木隆之介)でしたが、博物館と大学は協力関係にあり、田邊教授が図鑑を作ると言った以上、博物館にある標本の閲覧や出入りを認めることは出来ないと断られてしまいます。
二人は万太郎のことを友とも呼び、自分たちを慕って上京したという事実もあり旅立つ我が子を見守るようにも応援していましたが立場上助けることはできなかったのです。しかし万太郎の才能を認める人物は必ずいて、それはロシアのマキシモヴィッチ博士であると激励するのでした。
帰宅した万太郎は、博物館でも駄目だったことを嘆き、ロシアのマキシモヴィッチ博士の元へ行きたいと寿恵子(浜辺美波)に土下座します。寿恵子は本当に冒険だと呟いて万太郎のロシア行きを認め三つの条件を提示しました。
そんな両親を眺めていたのは愛しい長女・園子でした。
万太郎はマキシモヴィッチ博士に手紙をしたため、博士の元で研究したい、そちらで雇ってもらいたいと手紙を書いていました。そして石版印刷機の購入で綾(佐久間由衣)にもらった金は尽きており、渡航費用だけ工面してもらえないかと相談することにしました。それでどうにかなる、峰屋に頼るのはこれで最後と万太郎なりにプランを立てていたのです。
その頃、高知佐川では綾と竹雄(志尊淳)は新しい酒の試飲をしていました。峰の月に比べて明るく爽やかな味にしたいと試行錯誤、峰の月も少しだけ味を変え時代にあったものにしたいとも考えていたのです。
楽しそうな綾の姿を見て竹雄は幸せだと言い、昔、幸吉(笠松将)に妬いていて綾を持っていかれると思っていたと告白、綾は馬鹿だねぇと笑い、自分は昔から蔵と酒にしか恋しておらず惚れたのは一人だけと言い竹雄を照れさせるのでした。
しかし急転直下、峰屋では一大事が起こります。「火落ち」という清酒の変敗減少で、火落ち菌が清酒に繁殖し白濁、酸が発生し腐敗、そして異臭を放ち飲めるものではなくなる現象が起こります。別名「腐造」、酒造を廃業に追い込むとまで言われる致命的な現象でした。
寅松(嶋尾康史)は杜氏として責任を感じ辞めようとしますが綾も竹雄も責めません。酒屋には起こることだといい今にも死にそうな顔をしている寅松を止めるのでした。
すぐに政府の役人・上田(平原テツ)が来て、今年の税金を待ってほしいと頭を下げる竹雄でしたが、上田はため息をつくばかりで言及を避けました。払えないのはわかっているが立場としてはすぐに了承はできなかったのです。
毎年仕込みの時点で高額の税金をとられ、余力のなかった峰屋にとってこれは本当の窮地、茫然としながら初めて酒蔵の上まで登った綾は泣き崩れ竹雄は必死に抱きしめるのでした。
二人は峰屋の暖簾を下すことに決め、長年峰屋で働いていた者たちに頭を下げました。二人が必死に新時代を駆け抜けようとしたのを知っている峰屋の人々にとって無念で仕方がありませんでした。
皆と話し終えたあと、竹雄は庭先に咲くヒメスミレを眺め、綾は酒蔵で寝ころびました。あこがれてあこがれて上った酒蔵、もうそこには何もありません。蔵人たちが丹精込めて作っていた姿が瞼に浮かびます。
そこに竹雄が訪れ金の工面をしてくるといいヒメスミレを手渡します。自分たちはまだ終わっていないこれからだと慰め綾を支えるのでした。
そして東京では長屋と騒然とさせる出来事が起こっていました。
園子が高熱を出して倒れたのです。医師はすぐに園子の様子をみはしかかもしれないといい、寿恵子やえい(成海璃子)を驚愕させます。
予防接種制度は昭和23年から開始、当然この制度のなかった時代、はしかは赤子にとって致命的な病気だったのです。
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らんまん第89話ネットの反応「今週は朝から辛すぎる」
酒税で大変だろうに
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らんまん第89話ネタバレ感想考察「作中で明言されなかったが火落ち(腐造)は綾のせいか」
今回、峰屋にとって致命的なミスが起こってしまいましたね。よりにもよって火落ち菌の発生、いわゆる腐造です。
日本酒にはいろいろな種類、工程がありますが、峰屋の峰の月は酒に「火入れ」という作業をします。「火入れ」は品質保持のために行われる加熱処理に関係する言葉で日本酒を絞った後に通常2回の加熱処理を行います。
もちろん生酒という酒でしたらこの火入れは行いませんし、工程を1回にする生貯蔵酒や生詰め酒、二回火入れなどの酒もあります。
さて、作中で綾が「今年は火入れをぎりぎりまで待ってもらった」といい竹雄が「柑橘系のようなさやわかな風味」と言っていたのを覚えていますか。
これは、火入れをしない生酒に近い特徴でもあります。火入れをしない生酒はフレッシュな味わいで、火入れをした酒は生酒に比べて煮詰めたようあ味わいになるのです。
つまり通常の峰の月より生酒に寄せたことによりタイミングが合わず火落ち菌を発生させてしまったのです。
綾は幼いころより「女が酒蔵に入ると酒の神様が怒る」「女が入ると酒が枯れて火落ちが発生する」と言われてきました。それを払しょくして峰屋の女主人となりました。
今回は綾の試行錯誤が裏目に出て、製造工程に口出しをした結果このような事態になった可能性が高いです。
時勢上、男の領域に女が踏み込むなとか、女が入ると物事が変わってしまうとかいう話はできませんが、昔から男の人が進める物事を女の人が介入することによって失敗してきたという例が酒蔵にはあったのかもしれませんね。
一度でも起こると全部そのせいにされ浸透してきたのかも。いずれにせよまた綾は自責の念に駆られるのでしょうか。
そして最後の最後で傷ついてほしくない人物が倒れてしまいました。顔を真っ赤にした園子、子役の斎藤結衣ちゃんはさすがに赤ちゃんなので病気の演技まではできずキョトンとした顔で寝転がっていましたが、真っ赤にメイクされた顔色は心が痛むもの。
加えてはしかというワードは不審すぎます。むかしのはしかは致命的な死因の一つです。大学を追われ、峰屋は潰れ、園子まで死ぬ、課されるにはあまりに無残な試練ではないでしょうか。
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