前回、寂しくなった十徳長屋で暮らす万太郎(神木隆之介)一家はとうとう借金取りに追われる日々になっていました。波多野(前原滉)藤丸(前原瑞樹)の来訪中に借金取りの磯部(六平直政)が来て寿恵子(浜辺美波)が見事撃退なんていうことも。そんな槙野家を質屋の中尾(小倉久寛)やりん(安藤玉恵)は心配するのでした。
らんまん第98話ネタバレ感想「自由の国の闇」
前回、倉木(大東駿介)らが去った十徳長屋で暮らす槙野家はとうとう借金取のが取り立てにくる暮らしに突入していました。
子どもたちも借金取りがきたら示し合わせたように番傘の陰に隠れ、万太郎(神木は之介)は不在を装い別の部屋で小さくなって隠れてしのぎます。その際相手をするのは寿恵子(浜辺美波)の役割でした。
借金取りの磯部(六平直政)がきたときちょうど槙野家を訪れていた波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)はいよいよ首が回らなくなっていく槙野家の現状に驚くのでした。借金の額は200圓、現在の価格で600万円前後、海外の書物や生活費に消えていたお金でした。
寿恵子は話術で追加融資を取りつけ磯部を撃退、しかし身重で小さい子を抱えての寿恵子にりん(安藤玉恵)や質屋の中尾(小倉久寛)は非常に心配していました。
そしてそこに、アメリカから帰国した佑一郎(中村蒼)が十徳長屋を訪れるのでした。
余りに懐かしい顔との再会に頬を緩ませる万太郎、二人はしっかり抱き合うのです。
もはや小さな印刷所になりかけている十徳長屋の異様な様子を佑一郎は不可思議に眺め、子供二人がすくすくと育っている様に微笑みました。二人にはつもる話があり、竹雄(志尊淳)の近況や峰屋は息災かなど問われます。寿恵子は気遣い子供たちを連れて買い物に出てでてくれました。
アメリカについて佑一郎の第一声は「何もかも広大だった」でした。ミシシッピ川の治水工事に携わったことで鉄と鋼でできた世界初の橋の工事をその眼で見る事になったのです。未だ木の橋が多数の日本人にとっては目新しすぎるものでした。
自分がこれからしなければならない土木工学はこれだと佑一郎は確信したのだと言います。しかしそこで、人間のすばらしさと同時に恐ろしさも知ったと続けました。
夏の雨期は河川の工事も縮小されるため生活費を稼ぐために、鉄道技術者として南部に行ったという佑一郎、そこには幕府を崩壊させるにいたった黒船が出港した港もありました。
そこは重要は拠点であり、幕末当時はアメリカでも南部と北部で戦争が起こりその港は取り合いになった激戦地でした。あちらこちらに戦争の名残が残り、強烈な差別も根強くあったのです。
戦争により表向きな奴隷制度はなくなりました。しかし人々に植え付けられた差別意識は消えることなく、制度がなくなった分えげつないものになっていたと言います。
黒人、アジア人、アイルランドから来た人々への差別はとてもひどかったという佑一郎、幸い佑一郎は英語が話せて仕事が始まれば技師として働けたのでそれほどひどい目には合わなかったのですが、同じ船に乗った清国の人々は英語もわからぬまま白人に買われて連れていかれいくのを目撃しました。
大きな橋も鉄道も人の力で作られていたが、人は平等に扱われていなかったと言うアメリカの現状、札幌農学校では神の教えについても学んだがそのアメリカの現実はあれだったという失望を抱えて彼は帰ってきたのです。
「昔の日本も、武士じゃ町人じゃいうとったけど人が人を差別するのはいやじゃのう」
佑一郎の心からの言葉でした。学歴によって差別された万太郎にとっては響く言葉だったのかもしれません。
夜も近くなり、二人はそばを食べながらこれからについて話します。佑一郎は札幌農学校の教授に就任がきまり北海道にいくことになるのです。未だ生活に目がでない万太郎はいきなり教授になる佑一郎をほめそやしますが、佑一郎は昔から草花に優劣をつけない万太郎こそ素晴らしいのだと言います。
「国、人種、それぞれにどう生きるか、そこに優劣はない。おまんこれからも変わりなや」
佑一郎の心からのエールでした。頭の中で万太郎を思い浮かべるだけで楽しくなるという佑一郎は万太郎にとってかけがえのない友であったのです。
一方、田邊教授(要潤)の近況はあまりに逆境でした。森有礼(橋本さとし)の暗殺後、後ろ盾を亡くした田邊教授は中傷小説の内容も相まって完全に主流から外されていました。
女学校を分離するという新聞記事が載り、それは女学校の廃止を意味しました。田邊教授は新聞によってその内容を知るありさまでした。
かつて田邊が追い落とした美作(山本浩司)に嫌味を言われ、去り際に聡子(中田青渚)が選んだネクタイを「派手なネクタイだ。女学校用だな」と嘲笑するのでした。
自分の立場だけでなく森有礼の志を踏みにじられたと感じた田邊教授は浴びるほど酒を飲み聡子に窘められます。酒を制しようとした聡子を初めて怒鳴りつけた田邊でしたが、聡子はひるむことなく側にいたのでした。
前回:らんまん第97話「寿恵子の話術」
次回:らんまん第99話「離れていても交わる二人」
らんまん第98話ネットの反応「佑一郎君さらにかっこよく」
佑一郎くん、苦労多かったろうなぁ…米国南部…
万太郎も学歴差別でさんざん嫌な思いしてきたし…
#らんまん #朝ドラらんまん
ゆういちろうくんの体感、アメリカ🇺🇸に住んでいたが、日本人が感じる知る体感や大事な事を知るきっかけ。
米国の黒人の奴隷制度は歴史でも習うし有名だけど、その歴史は知らなかった。
#らんまん
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らんまん第98話ネタバレ感想考察「万太郎の周りには田邊以外に二人の大学教授」
何話ぶりか、佑一郎君が出演しましたね。大学を追われ学歴差別を受けた万太郎にとって、もっとひどい人種差別を目の当たりにし、人に優劣はないということを身をもって知った佑一郎の言葉はとても重く、万太郎に響いたというとても有意義な回だったと思います。
ネットの反応を見るに、佑一郎教授になるなら万太郎の借金を肩代わりしないのかなんてつぶやきもありましたが、大学教授に就くものが万太郎の在り方を支持するというのはとても大切なシーンでした。
らんまん中の悪として描かれる田邊教授ですが、それに対するように万太郎を理解するポジションで札幌農学校の教授になる佑一郎、そして万太郎を応援する役として早稲田大学の教授となる丈之助。作中では二人の教授になる人物が理解者して描かれます。今は孤立しているように見えて実は人に恵まれている万太郎なわけです。
対して、森有礼という最大の庇護者で理解者を失ってしまった田邊教授、坂道を転げ落ちるように理想も立場も失っていきます。かつて万太郎を切り捨てたことが教授としての命も断とうとしているのです。
この対比が事情に面白い、田邊教授は転落していきますがどのような人間模様があっておちていくのかこれからも目が離せませんね。
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