前回、万太郎(神木隆之介)との関係性に悩んだ寿恵子(浜辺美波)は福治(池田鉄洋)からのアドバイスを受けて寿恵子なりに助けようと心に誓います。そして万太郎は日本植物志図譜を刊行に向け久々に大畑印刷所を訪れたのですが、そこに寿恵子も現れるのでした。
らんまん第73話ネタバレ感想「江戸っ子の肝っ玉」
前回、日本植物志図譜の刊行に向けて大学と印刷所を行き来すると伝えた万太郎(神木隆之介)に、妻の寿恵子(浜辺美波)は特殊な人に嫁いだとわかっていたが何もできていない自分をふがいなく思っていました。
十徳長屋の住人・福治(池田鉄洋)に、全部真に受けないで身の丈でやれと助言されその思いを寿恵子なりに昇華させることにするのです。
そんな寿恵子は、万太郎に相談せず仲人の大畑夫妻(奥田瑛二・鶴田真由)の経営する大畑印刷所に足を運び、石版印刷機を個人で購入したいと言い出し、大畑夫妻のみならず居合わせた万太郎の度肝を抜くのでした。
「本はこれから何冊も出す」「本は出すのは早ければ早い方が良い、今大畑印刷所は大忙しで待ちが長い」「研究も印刷も家でできる」「体が楽になる、少しでも眠れる」と石版印刷機を購入するメリットを述べる寿恵子、身の丈似合わない買い物になるのはわかっていると続ける妻に万太郎も欲しかったと賛同します。
二人の様子をみた義平(奥田瑛二)とイチ(鶴田真由)は印刷機は今は国産で買えるから自分たちが買った頃より少し安いが、石の方が重要で石はいまだドイツから仕入れているのだと教えます。石と合わせると千円を超え、現在の価値でいうとおおよそ2000万円、峰屋の綾(佐久間由衣)がひそかに寿恵子に持たせていたお金で何とか買える、これがなくなれば生活はかなり厳しくなることが予想されると付け加える寿恵子に万太郎も一大決心をするのでした。
十徳長屋。戻った万太郎は差配人・りん(安藤玉恵)に印刷機を置くために壁をぶち抜きたいと願い、壁をぶち抜く前にりんの肝をぶち抜きます。長屋の住人達も何がおこるやらとじっと見ています。
万太郎の書籍を枕に我が家のように寝転ぶ丈之助(山脇辰哉)は「どうせ穴空いてんじゃん」とりんに対して他人事。
しかしりんは万さんの狸の穴倉が、どんどんでかくなって二間続けて穴倉になるんだよ、というとえい(成海璃子)は想像するだけでいらっとすると反応、どんどん本が増えて浸食される、片付けても文句言われると家事をする女性ならではの視点で言い合うのです。それは妻の寿恵子が苦労することを示唆し案じていたからでした。
えいの夫・隼人(大東駿介)はごちゃごちゃうるさいと言い、外に庇を作って砂やらなにやらを置けばいいと言い、的確な助言に丈之助や万太郎も感激するのです。寿恵子は最後の一押しとばかりにりんに庇と合わせて3部屋分家賃を払うからと願い、りんも了承するのでした。
福治(池田鉄洋)が棒手振りの仕事から戻ると長屋はもう活気づいて何事かと思っていると、寿恵子が福治さんに言われたのに身の丈似合わない買い物をした、ごめんなさいと謝ってきます。二人がいいならそれでいいと、江戸っ子らしいさっぱりした返しをする福治にりんは「人生の先輩ぶっちゃったんでしょ」と笑いからかうのです。
そこに波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)が意外な人物を伴ってやってきました。それは講師の大窪(今野浩喜)でした。
初めて美しい寿恵子を見た波多野と藤丸は、寿恵子が白梅堂の娘と知り、あのお菓子を自分たちが買いに行っていれば!俺たちがあの菓子をバクバク食べたから万さん白梅堂に行けたんだぞ!俺たちのおかげじゃんと万太郎をなじります。
大窪はこんな部屋に住んでるのかといい、今度壁をぶち抜く石版印刷機を置くと伝えると、さらに標本を見せてくれというのです。
田邊教授(要潤)が皆の前で見せるなといったあの標本です。新種ではないかと思う万太郎はマメヅタランの論文を書いていた大窪の助言が欲しかったところでした。
すると大窪は意を決したように言い出しました。
「槙野、俺は口先だけの下衆だと言われた。開花した一輪さえも見つけられず金を払い案内人を雇っても成果を出さず…お前のようになれないから」
そういって研究に参加させてくれと土下座し始めるのです。万太郎は驚いて一緒にやったらいいじゃないですか頭を挙げてくださいと慌てますが、波多野がそれが大事な局面だと諭します。
大窪と一緒にやれば、大学との共同研究になるからお金が動くんだ、大学の実績になる万太郎だけの功績ではなくなる、大窪さんは田邊教授からいわれたのではないか?口では何とでもいえる、と波多野と藤丸は危惧します。
しかし大窪は否定、自分は今初めて植物学をやりたいと心から願っていると言いもう助教授になる人が!と波多野と藤丸はなじるのです。
万太郎はここでの話は他ではしないからと大窪の心内を聞くことにしました。
大窪は植物学教室に来たことをずっと恥じていた。自分の父親は旗本で東京府知事を経験し今は元老院の議官をしている。自分は三男で留学してさえ就職先がみつからなかった。父の使い走りをしていたが父が勝先生(勝海舟)にたのんでようやく植物学教室の御用掛に採用された。留学して頼み込んでようやく植物学教室の御用掛…情けなくてたまらなかったと、しかし勝先生の口利きをむげにすれば今度こそ父に見限られる、そう思って植物園に通い覚えろと言われたものは無我夢中で覚えた、いつも断崖絶壁にいるつもりで仕事をしていた、田邊教授にも気に入られねばならないと毎日必死だったといいます。しかし万太郎が来たせいで…そういって止まりました。
万太郎は自分がなにかしたのかと息をのみ大窪を見るのでした。
前回:らんまん第72話「賢妻のはじまり」
次回:らんまん第74話「意外な協力者」
らんまん第73話ネットの反応「大窪さんのバッグボーンも描かれてていい」
行きたくて行ったわけではないとかね
大学側としては「そもそも入る時点で一定の志があるもの」としてるに決まってるでしょ
大学側がお気の毒に思うレベルよ
他に行くところがなくて植物学教室に来ていたのが、万太郎に触発されて植物学への情熱に目覚めたんだね。
勝海舟と言ったらビッグネームなのに、『ほ〜ん』😂
ジョン万次郎の家で植物画やシーボルトの話で盛り上がったり、高藤家で薔薇の歌だったから考察が深まったり、伊藤家の話しで興奮したり、一貫してる😂
#らんまん #朝ドラらんまん
昨今重要な判決が出るけど、まだ学問とは何かが上世代には分からないの?
というか、植物学も医学もどちらも大事な学問だけど、医学に置き換えてみなさいよ
#らんまん
そして峰屋から頂いた1,000円は未来への投資になった。
らんまん第73話ネタバレ感想考察「実は大窪さんのモデル大久保三郎もトガクシソウ破門事件の当事者」
今回はお寿恵ちゃんの肝っ玉の据わった判断から始まり大窪さんのバッグボーンまで描かれましたね。さんざん万太郎は浪費家だなぁと思っていましたが、印刷機を買うくだりや、そのために庇(ひさし)を作り一部屋分家賃をプラスして払うというくだり、どんどん槙野家の経費がかさんでいくのを見てハラハラします。
金持ちしか学者になれないとよく言われていましたがこの辺なんでしょうね。
さて今回今野さん演じる講師・大窪さんがデレました。デレたといいますか初めてバッグボーンが紹介されましたね。
ネット上でも、父は府知事、元老院議官ということから「大久保三郎」で間違いないだろうといわれています。
自分をダメ男のように言っていますが、その名も現代に残す東京大学植物学教室の創成期を担った人物であることは忘れてはいけません。
クララの明治日記にみる「大久保三郎」
クララ・ホイットニーという女性がいます。彼女は勝海舟の三男・梅太郎と国際結婚をし、勝家やその周辺で起こることを日記に残していました。勝海舟と大久保三郎の父・大久保一翁や三郎自身ことも書いてありました。
ここでは三郎は父の使い走りではなく、当時の徳川家当主・徳川家達の随員となっていたと書かれており、植物学を生かした仕事も並行して探していたとも記述があります。いやいや植物学をしていたと言うことではなさそうです。
実はトガクシソウ破門事件の当事者の一人でもある大久保三郎
トガクシソウ事件は矢田部教授と伊藤篤太郎の間で起こった命名を競う事件で、らんまん作中でもこれから描かれるところですが、槙野万太郎のモデル牧野富太郎の自伝「牧野富太郎自叙伝」では、マキシモヴィッチ博士が、矢田部教授にトガクシソウの命名についてあれこれ話していた手紙があり、その手紙の内容を大久保が伊藤に話していたという記載があるのです。
伊藤はそれを聞き、自分の叔父が発見したものと同じ草であること知り急ぎ奔走したというのです。
自叙伝によると、
「大久保さんは、伊藤の性質をよく知っているので、この手紙を見せるが、お前が先に名を付けたりしないという約束をした。所がその後三ヶ月程経ってイギリスの植物雑誌のジャーナル・オブ・ボタニイ誌上(一八八八年の一〇月号)に同じ植物に関し伊藤が報告文を載せ、『とがくししょうま』にランザニア・ジャポニカなる学名を付して公表していた」
とあり、つまり漏らしたのは大久保であったことがわかります。これにより矢田部教授と大久保両氏は伊藤篤太郎の教室出入りを禁じたという結末ですが、東大に奉職していた篤太郎の祖父・伊藤圭介との親交もあったはずですし、三郎はトガクシソウの開花を見るために小石川植物園も行き来していました。
篤太郎に手紙を見せたのは、トガクシソウのことお前言うなよ?という念押しだったのかもしれないと思うとわざわざ手紙を見せた理由も何となく察することができる気がします。
今野さんでだいぶマイルドにされている大久保三郎ですが彼もまた熾烈な学閥争いの中にいたのかもしれません…。
ただ手紙を見せたくだりは「牧野富太郎自叙伝」のみの証言ですので本当にそうであったのかはまだ一考の余地があります。
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