前回、造国税に苦しむ酒蔵で結束し政府に対抗しようとした綾(佐久間由衣)は女が当主を務めていることが周りの酒屋から反感を買い全く相手にされない現実に折れてしまいます。それを支える竹雄(志尊淳)に綾は初めて男性として意識するのです。一方万太郎(神木隆之介)は研究の八つ当たりを初めて寿恵子(浜辺美波)にしてしまうのでした。
らんまん第63話ネタバレ感想「祖母孝行」
前回、造国税に苦しむ土佐中の酒蔵と組合を作り互いに監視し合うことで闇の酒の出回りを止めようとする綾(佐久間由衣)は同業の酒蔵を1軒1軒回り説き伏せようとします。しかし現実は女が当主であるというだけだ馬鹿にされる峰屋、深尾の殿様のひいきでこれまでやってきてほかのことは見向きもしなかったくせに野に放たれた瞬間協力とは片腹痛い、と女であるということとこれまでの峰屋の立ち位置への嫉妬しか向けられませんでした。
そんな綾を支える竹雄(志尊淳)の存在は綾の中で日に日に大きくなっていくのです。一方、ヤマザクラの病を治す研究が一向に進まない万太郎(神木隆之介)は焦りまくり寿恵子(浜辺美波)に当たってしまうのでした。そんな万太郎を綾と竹雄はコテンパンにいいくるめ万太郎は土下座して許しを請うのでした。
翌日、万太郎と寿恵子の仲を縮めようと一考する竹雄は寿恵子を万太郎の横倉山の植物採集に同行させることにしました。万太郎を理解するには寿恵子が歩み寄る方が早いそう思ったのです。
植物採集は大きすぎず小さすぎず、一番凡庸なものを選び土は取り除いてドウランに入れる、そして、周りをよく見て尾根か斜面か、林の中開けた場所か、木のそばに生えているなら常緑か落葉か、日が当たるか陰になっているか、土の状態はどうか湿ってるか乾いているか、砂の多い土かガケに生えているか出来る限り書き留める…この工程を竹雄はこと細かく伝え、万太郎はそこまでしなくてもすべて頭に入っているが自分はすぐ抜けてしまう…なので書き留めている、万太郎と話がしたいならこうやって書き留めておくといい、と寿恵子に伝授するのです。
寿恵子は不安になり、自分に務まるかと聞くと、竹雄は微笑んでできなくて当たり前だと微笑みました。万太郎は草花の申し子理屈じゃなくてそう生まれ付いてるだから自分は努力した、努力してでも万太郎のそばにいたかったからだ、そう言ってまた大丈夫、あなたなら出来ると寿恵子を応援するのでした。
寿恵子は万太郎が植物採集の時になぜ洋装なのかと問いました。
万太郎は植物に会いに行くときは一番いい服装で行かないと失礼になると汚れる事も厭わず洋服を着ているのだと聞き寿恵子はそれらしいと笑い、万太郎は少年のようにきらきらとした目で山の中を進んでいくのでした。
河原で休憩しているとき、寿恵子はふと万太郎が「見えないものは何もわからない役立たずだ」と言っていたことを引き合いにだし「万太郎は見えているものは何でも分かっている」と褒め自分は同じ草を見ていてもただの草にしかみえない。でも万太郎は見えていてもっと細かく誰がどこにいて全部見えてるんでしょう?というのです。
「あなたは人に見えないものが見えている。だからとことん見てあげたら?誰にも気づかれないけどそこにいる子、生きている子、万太郎さんだけが気づいてみてあげて」
竹雄も植物研究を山にたとえ万太郎を激励、万太郎は妻となるひとと大切な友が自分を理解してくれたことが嬉しく照れながら笑うのでした。
夜、帰宅した寿恵子たちは採集した植物の整理をしていました。歩き疲れてくたくたな寿恵子は思わずうとうととしてしまうほど。最終した植物を新聞で挟んでおくことはその日のうちにしてしまわないといけない工程、くたくたな寿恵子を気の毒に思いつつも竹雄は手をゆるめません。
一方万太郎は竹雄との会話の中で自分一人では限界があると思いなおし、植物学教室の波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)、そして博物館の野田(田辺誠一)と里中(いとうせいこう)、田邊教授(要潤)に助けを求めました。
寿恵子が休んだあと、竹雄は万太郎に話がある、と言い万太郎も何か覚悟をした表情を浮かべるのでした。
前回:らんまん第62話「女であるということ」
次回:らんまん第64話「それぞれの晴れの日」
らんまん第63話ネットの反応「寿恵子さんという得難い存在」
切羽詰まってた、そして自分も傷付いてた時の相手の発露をちゃんと聴いてる寿恵子さんすごいなぁ
らんまん第63話ネタバレ感想考察「夫をageる天才妻」
今回は、竹雄が寿恵子に植物採集の手順を教えるという強烈な展開はないにしろ重要な回でした。
前回の竹雄の様子からもう万太郎と東京に戻ることはないとうすうす気づいている万太郎、そしてその通りに夫婦になったのだからと寿恵子に植物採集の手順を一つ一つ丁寧に教えていく竹雄、別れは確実に迫っています。
寂しさだけが残るものだと思ったら、寿恵子はその植物採集を通して、万太郎がただの熱心な研究者ではなく比類ない才能があることに気づきます。ただの木や植物を一つ一つ違うと見抜く心眼、それは自分を含めただの人にはわからないものだと言うのです。
万太郎は自分のそれが非凡であるなど気づいていませんでした。一番愛する人が一番理解してくれて寄り添ってくれる、それを言葉にして伝えてくれるなんてこれ以上にない幸せでしょう。
万太郎は寿恵子が好きなだけではなく、この世で一番大切な存在であることを自覚したと思います。
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