前回、石版印刷機購入に湧く十徳長屋に意外な客人が訪れました。講師の大窪(今野浩喜)は、自分のこれまでの経歴そしてこれからの植物学者としての在り方に悩み万太郎(神木隆之介)への協力を申し入れるのでした。
らんまん第74話ネタバレ感想「意外な協力者」
前回、江戸っ子らしい気風の良さを発揮させた寿恵子(浜辺美波)の提案で石版印刷機を購入し十徳長屋での設置を勝ち取った万太郎(神木隆之介)夫妻は、十徳長屋の住人たちの協力を得て設置に向けてあれこれ準備をしていました。そこへ波多野(前原滉)と藤丸(前原瑞樹)が講師の大窪(今野浩喜)を伴って訪ねてきました。
深刻な顔をする大窪の口から出たのは、万太郎の新種の研究に協力させてほしいというもの。波多野らは大学から金は出るが、大学の実績になるから慎重にと忠告し、また大窪は自分の経歴から苦しい立場、そして身を粉にして働いていた経緯を話します。勝海舟という大物の紹介ゆえに失敗できないといつも焦っていた自分、植物学教室での立ち位置、そのすべてが大窪を覆っていました。
そして万太郎が来てただ草花が好きな人間が初めて植物学教室にきたことで新しい風が吹いたというのです。
田邊教授(要潤)でさえ植物学が新しい学問だからそれで世に出られる、植物学教室は皆それだけでした。万太郎が来たことで「このままでは誰も勝てない」植物を好きになりたい、大窪はそう願うようになったのです。
「万太郎が何を見て、どこが好きなのか、傍らにいて知りたい」大窪の目は真剣でした。
「大窪さん、それは違います。大窪さんのマメヅタランの原稿、本当に好きじゃなかったらどうしてあんな素敵な原稿ができたんでしょうか。マメヅタランは生きる場所を懸命にさがして岩に着生するそこに心を動かされたんでしょう。徳永助教授は植物が出てくる和歌がお好きで田邊教授はシダ植物がお好き、藤丸はスッポンダケが大好きで波多野はわしらには見えん植物のもっと奥を見ようとしています。どうしてここに来たかよりそれよりもここにきて今日も植物学を生きる、それだけでええがじゃと思います。大窪さんぜしわしと植物を一緒に研究していただけないでしょうか」
万太郎と大窪は頭を下げ合い一緒に研究をすることになるのです。
藤丸は大窪と研究するなら植物学雑誌に掲載すればいいと提案、うまくいけば日本人が日本の雑誌で新種を発表できるのか、と大窪は頷きます。楽しそうに語り合う4人を見て寿恵子は微笑むのでした。
翌日、徳永教授は植物学教室に植えられた楪(ゆずりは)を眺め万葉集の一節、「いにしへに恋ふる鳥かも弓絃葉の」と謳い、そこに訪れた万太郎は「御井の上より鳴き渡り行く」と下の句を口にします。
万太郎の横にいた大窪は万太郎と新種の共同研究をすることを報告、槙野はそれでいいのかと徳永は問います。大窪が名を連ねたら、植物学教室の実績となる、それを懸念していたのです。
万太郎は植物学教室の標本を見ることができなければ研究は出来ないし感謝もしている、自分は名付け親になれたらそれでいいと返しました。大窪の肩をたたきしっかりやれといい万太郎には頷いた徳永助教授はそのまま田邊教授に報告に行きました。
田邊教授はかつて万太郎を入れるなといった徳永をなじり、小学校中退で留学もしていないそんな奴に門戸を開くのか植物学会はそんな奴を認めていないと声を荒げますが、徳永助教授は静かに「情けを受けたのはこちらです」と返しました。
万太郎はこれが植物学教室の実績となってもいいと譲ってくれたと、この研究に関われなければ植物学教室は何も実績が出せないことになる。
田邊教授はトガクシソウがあると反論するも、そのトガクシソウは花を咲かすことはなかった、今自分たちがすることは槙野に礼を言うことだ、珍しく徳永助教授も声を張り上げひかなかったのです。
万太郎と大窪は精力的に研究を重ねます。何日も植物学教室に籠りそれは季節も変わり除夜の鐘がなって年が変わるほど。万太郎はそれまで寿恵子を放置していたことに気づき慌てて家に帰り土下座する一幕すらありました。
教室に徳永助教授がきても気づかないほどの二人、そして新種がギリシャの植物とつながりがあることを突き止めた二人は、エーゲ海と土佐がつながっているのかと沸き立ち楽しそうにする二人をみて徳永助教授も笑みをます。
そしてギリシャの植物とはまた違うことも見つけ、それが新種であると証明できたのです。
植物学教室は歓喜に震えましたが、田邊教授だけは無表情のままでした。
そして節分を迎えた十徳長屋、そこにとうとう石版印刷機が来る日がきました。女たちは得物を手に、一斉に万太郎宅の二間を仕切っていた壁を衝いて破壊、男たちは庇を作り始めています。槙野家に新しい風が吹き始めました。
前回:らんまん第73話「江戸っ子の肝っ玉」
次回:らんまん第75話「トガクシソウ奇譚」
らんまん第74話ネットの反応「徳永助教授の可愛さ爆殺」
万太郎は高知にいた頃から自主的にずっとこんなことやって来たからお手のものだけどな
#ユズリハ は万葉集の時代にはユヅルハと呼ばれていた
この歌に対する額田王の返歌は「いにしへに恋ふらむ鳥はほととぎすけだしや鳴きし(あ)が思(も)へるごと」
(なんか顔まで違う人に見えるぞw)
らんまん第74話ネタバレ感想考察「新種ヤマトグサはトガクシソウに次いで2番目に日本人がつけた学名ですでに絶滅危惧種」
今回は、万太郎の研究に携わりたいという大窪の心の披歴がもはや愛の告白に近いもので、尚且つ年越しまで研究する二人をほほえましく見ている視聴者が多かったですね。
また、徳永助教授は研究する二人を邪魔しないようにそっと入ったり微笑んでみていたりと、まるで勉強熱心にやっている我が子を見守る父のようでほっこりしましたね。
新種ヤマトグサはトガクシソウに次ぐ2番目に日本人がつけた学名
このヤマトグサは標本がなかったために当初はハシカグサだと思われていました。作中のようにこれは新種じゃなかろうか!と最初から沸き立っていたわけではなさそうです。
幸いなのは牧野富太郎が東京大学植物学教室に出入り出来ており良い標本に触れ合い、尚且つ大久保三郎と研究できたことが功を奏しました。その植物は新種とわかり、ヤマトグサの名が与えられたのです。
伊藤篤太郎のトガクシソウに続き、牧野富太郎のヤマトグサが日本人がつけた2番目の学名命名となったのです。トガクシソウをもし矢田部教授が名付けられていたら東京大学がワン・ツーで名付け親となれたわけで、矢田部教授の激怒ぶりがわかるというものです。
現在では絶滅危惧種なヤマトグサ
作中ではヤマトグサの発見に湧いていましたが、現在ではヤマトグサは多くの都道府県でレッドリスト(種の保全評価にて絶滅危惧種)を受けています。
秋田県、茨城県、千葉県、三重県、岡山県。徳島県、山口県ではレッドリスト入りしており、森林伐採は林道工事などにより減少しています。地方ですから高速道路工事などで激減しているのでしょうか。
新種発見から100年程度でここまでヤマトグサを取り巻く環境が変わっていると知ると何とも言えない思いがしますね。
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