らんまん第122話ネタバレ感想「離れていても私たちは」

らんまん

前回、合祀令に反対するために大学を辞めたいと告白した万太郎(神木隆之介)に対し、家族は一定の理解を示し受け入れてくれるのでした。そして長屋にも別れが訪れようとしています。差配人のりん(安藤玉恵)が家主と暮らすために千歳(遠藤さくら)に差配人を譲るというのです。

らんまん第122話ネタバレ感想「離れていても私たちは」

前回、合祀令により神社周辺の森の生態系が壊されていることを知った万太郎(神木隆之介)は、合祀令に反対するために大学を辞めたいと家族に訴えました。徳永教授に庇ってもらうのも限界があったのです。
何も持たない万太郎にとって大学助手の肩書は大切なものでしたが、彼にとって大切なものは植物でした。家族は万太郎の価値観を理解し、一定の理解を示すと辞めることを了承、万太郎が大学を辞めた金銭的穴埋めは息子たちがすると頼もしい言葉も出てきたのでした。
そして十徳長屋にもまた新たなる変化が起こります。長年差配人として働いていたりん(安藤玉恵)が、家主と隠居するために差配人を引退するというのです。我が子同然に面倒を見てもらった槙野家の子どもたち、そしてその中の千歳(遠藤さくら)に、差配人の役を託すことになるのでした。
そして雪降る翌日、万太郎が大学を辞するために、徳永教授の教授室の戸を叩くのです。万太郎が決断を伝える前に、万太郎は徳永教授に自身がつくった植物図鑑から神社に生息するツチトリモチの詳細とフローラを提示しました。南方熊楠には会っていないと告げるものの、この図鑑とフローラを発表した時世間はそうは見ないだろうと徳永教授は窘めてきます。これ以上は庇えない、今学期限りで、と徳永教授が続ける前に、万太郎は辞表を提示しました。
「ツチトリモチがいた神社は年明けには伐採が始まってしまう、万太郎は大学を辞めてすぐ日本植物志図譜とツチトリモチのフローラを各所に送り付ける予定だ。これは大学にはかかわりがないことです、私一人の行動です。教授私の勝手をお許しください」
徳永教授は植物学者としていたいなら、合祀令から目を背ければいい。今は満州がある、大陸の植物を見ればいいとなんとか助け舟を出そうとします。しかし万太郎の決意は変わりませんでした。声を掛けてくれたことをあらためて感謝し御恩は一生忘れないと深く一礼しました。
「この雪の 消残る時に いざ行かな」
と徳永教授が上の句を言うと
「……山橘の 実の照るも見む」
と万太郎は返します。教授は万太郎のツチトリモチの植物画を見ながら「よくかけている、こんな植物画、お前だけだ」と目頭を熱くし、万太郎は深々と頭を下げたのでした。

万太郎は今誰もいない植物学教室を眺めながら過去を思い出していました。田邊教授(要潤)に認めて受け入れてもらえた日のこと、植物学雑誌を波多野(前原滉)や藤丸(前原瑞樹)と仕上げて大喜びした日のこと、学生や助教授だった徳永教授、そして大窪(今野浩喜)と新しい発見をしたこと、野宮(亀田佳明)が世界で初のイチョウの精虫を見つけた日のこと、様々な濃い思い出はここにありました。万太郎はこちらにも深々と一礼し去ろうとすると、雑用係の男(せんちゃん)がお客様ですと呼び止めました。
来年度から工科大学に着任される広瀬教授ですと、紹介されたのは幼馴染の佑一郎(中村蒼)でした。

お互い白髪交じりになった万太郎と佑一郎です。せっかく一緒の場所に通えるようになったと思ったところでしたが二人はニアミスしてしまうのです。しかし佑一郎は「おまんが自分で出した答えだがじゃ」と笑います。
一植物学者でありたいという万太郎にまた佑一郎は微笑み、自分も実はさっきそう言ってきたというのです。
工科大学は派閥争いがひどく、派閥となんも縁のない佑一郎が着任したものだから拶もそこそこに、今から食事をとどうにか佑一郎を引っ張り込もうとしてくるのだそう。めんどくさくなった佑一郎は全部断ってきたといいます。
佑一郎は小樽の港と防波堤の工事も仕上げた実力があるので呼ばれたのだと褒め称える万太郎、しかしその工事も戦争のあおりを受けて予算が大幅に削られたのだと佑一郎は眉を顰めます。
しかも冬の間は雪深く工事が出来ない小樽ではかなり苦労をしていました。佑一郎はアメリカの文献から火山灰を使ったコンクリートを使うことを思い立ち、海水の中での強度の実験を行いそれを実用にこぎつける功績をあげていたのです。
佑一郎をさすがだと褒め称える万太郎、佑一郎はおごることなく自分たちのすることは教授室ではできない、普請場に立ち合い働く人たちの力があってこそ、派閥争いよりも自分はただのエンジニアでありたい。彼はまぶしいくらいの男でした。彼はまた満州に行ったりと引っ張りだこでなかなか一つにとどまりそうではありませんでした。

「のう佑一郎くん。わしらは、別の道を行くけんど…目指す場所は、同じじゃろうか?」
「ああ。わしも、そう思いよった。わしらは、あの仁淀川からずっと並んで走りゆうきのう」
立場が変わり白髪となっても二人の心根は変わりません。二人は頷き合って別れたのでした。

万太郎が送ると宣言したツチトリモチが載った図録は言葉通り各所に送られ、それは野宮(亀田佳明)の許にも届いていました。野宮は自分の働きかけで万太郎が動いたことを実感しました。合祀令は年が明ける世論を動かし始め神社の一部は保全される動きが始まりました。万太郎らの動きが実ったのです。

そして明治の終わり、万太郎と寿恵子(浜辺美波)の娘、千歳(遠藤さくら)が虎鉄(濱田龍臣)の許に嫁ぐことになりました。花嫁衣装は寿恵子がかつて身に着けたものでした。千歳の口に紅を塗ったあと、ふと長女園子の絵を眺める寿恵子、園子の後に生まれた千歳は大人になり歳月を感じさせます。
外では千歳の花嫁姿をみた虎鉄が倒れそうな顔をしています。あまりの美しさに自分より若い男の方が良いのではと動揺し始めるのです。
千歳は自分は虎鉄兄のお嫁さんになりたいのに、とまっすぐな目をして言うと虎鉄も観念したように花束を渡します。虎鉄は千歳は花はいらないが口癖だが、花に囲まれると微笑むことを知っていました。
万太郎は千歳が生まれてきてくれたことに礼をいい、生まれた時はただ生きてくれ生きてくれと思っていたといいました。名前が千歳なのも長寿を願ったに他なりませんでした。
千歳はそれが一番の贈り物ですといい微笑んだのでした。

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らんまん第122話ネタバレ感想考察「万太郎と徳永教授の別れ際の和歌再会を願うもの」

「この雪の 消残(けのこ)る時に いざ行かな 山橘の 実の光(て)るも見む」
万太郎と徳永教授の別れ際の歌は、万葉集巻十九4226のものです。
意味は
「この雪がまだ消え残っている間に、さあ行きましょう、山橘の真っ赤な実が照り生える雪の美しさを見に行きましょうよ」
といいます。つまり徳永教授は万太郎に遠くないうちにまた会おうと告げているのです。とっさに下の句を答えた万太郎もこの意味を当然理解しています。口には出さない男の友情なんですね。意味が分かるとグッときます。
二人は最初反目する立場でしたが、文学を愛し花を愛した徳永教授と万太郎の雪解けも和歌の上の句と下の句を言い合ったことから始まりました。別れ際も和歌で上の句下の句を言い合って去る…これ以上の演出はありません。毎回脚本家さんの腕が鳴ってるなぁと思う演出です。

次回:らんまん第123話「すべてを奪うその揺れに」

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